「Siriに話しかけたのに、結局ブラウザ開いて自分でググってる」──そんな経験、何回ありましたか?
リマインダー1つまともに作れず、「それくらい自分でやるわ…」とため息をついた人も多いはずです。
そんな中で飛び込んできたのが、「次世代Siriの頭脳にGoogle Gemini採用」「Apple–GoogleのマルチイヤーAI提携」というニュース。
正直、「おいおい、あのAppleがついにGoogleのAIを使うの?」というインパクトがあります。
でも、これをただの「Siriが賢くなるらしいよ〜」で終わらせるのはもったいないです。
エンジニア目線で見ると、これはiOSのアーキテクチャとエコシステムのルールが書き換わるイベントです。
- 一言でいうと「PowerPC MacがIntelに乗り換えた瞬間のAI版」
- 何がそんなにデカいか:これは「検索デフォルト契約」のAI版
- なぜ今さらSiriにGeminiなのか:敗北宣言+超合理主義
- ただの「降参」ではない:Appleのマルチベンダー戦略はかなりエグい
- 開発者目線でのインパクト:Siriが“OSの顔”として本当にAIになる
- とはいえ…懸念点も山ほどある
- それでも「Gemini Siri」がもたらすポジティブな変化
- 「Gemini Siri」と競合するのは誰か?
- 現場エンジニアとして、今なにをすべきか
- コミュニティの空気感:期待よりも「うんざり」が先に来ている
- 結論:プロダクションで全乗りするか?正直まだ様子見です
一言でいうと「PowerPC MacがIntelに乗り換えた瞬間のAI版」

この提携、歴史的に一番近いのはやっぱり「MacがPowerPCからIntelに乗り換えたとき」だと感じています。
- かつてのApple
- CPUまで自前主義(PowerPC)で頑張っていたけど、性能・電力・エコシステムで限界が見えていた
- Intel移行後
- 性能ジャンプ、Windowsとの互換性向上、「Macでも普通に動く」が一気に増えた
今回も似ています:
- これまでのSiri
- Apple自前のショボいNLP+ルールベース
- 「アラームかけるリモコン」以上にも以下にもなれなかった
- これからのSiri
- クラウド側の“頭脳”をGoogle Geminiファミリーに丸ごと乗せ替え
- iOS/macOSレベルで「オンデバイスAI+GeminiクラウドAI」のハイブリッド設計に
一言でいうと、
「Siriの脳みそを丸ごとGeminiに載せ替えるIntel移行」
です。
それはワクワクもしますが、同時にいろいろと嫌な予感もします 🤔
何がそんなにデカいか:これは「検索デフォルト契約」のAI版
歴史をなぞるように、このGemini提携って、Safariのデフォルト検索エンジンとしてGoogleを採用したあの構図とかなり重なります。
- かつて:
- Appleは「検索エンジン」は自前でやらずにGoogleに丸投げ
- その代わり、Googleから何十億ドルものリベニューシェアを受け取る
- これから:
- Appleは「クラウド側のAI頭脳」も自前主義を一部あきらめ、Geminiに依存
- OSレベルでSiriや文章生成、システム機能が裏でGeminiを叩く
「Siri=AppleのAI」というイメージは表向きキープしたまま、
実際には
「UXはApple、頭脳はGoogle、請求書はGoogle→Appleのどこかで相殺」
みたいな世界が見えてきます。
ぶっちゃけ、
「Apple、AIでのプライドを一部捨てた代わりに、検索契約をテコに格安でGeminiを仕入れた」
という構図にしか見えません。
なぜ今さらSiriにGeminiなのか:敗北宣言+超合理主義

正直、これってAppleの“静かな敗北宣言”だと思っています。
- 報道ベースでは:
- Apple自前モデル:1,500億パラメータ級
- Gemini:1.2兆パラメータ級(ざっくり8倍スケール)
- 次世代Siriの社内テストではエラー率3割超とも言われている
- OpenAI / Anthropic / Googleで比較検討した結果、
- 技術的にはどこも合格点
- 最後の決め手は値段+既存のGoogle検索契約とのセット感
実際の記事によると:
- Googleとの契約:年間約10億ドル
- Anthropic(Claude)との契約案:年間15億ドル
- 既にGoogleは検索デフォルト契約で年間200億ドル以上をAppleに支払い済み
つまり、Apple視点では:
「Geminiを選べば、
“今すでにデカすぎるGoogleマネー”の一部をAIに付け替えるだけで済む」
わざわざ新しい振込先(Anthropic)を15億ドルで増やす理由は、
そこまで強くなかった、ということです。
正直、「AI覇権争いの主役はウチだ!」という顔をしていたAppleが、
ここまでコスパと既存関係で動いたのは、なかなかエモいものがあります。
ただの「降参」ではない:Appleのマルチベンダー戦略はかなりエグい
とはいえ、AppleはただGoogleに降伏したわけではありません。
ここがこのニュースで一番面白いポイントです。
◼︎ Appleは「1社と心中しない」モードに完全シフトした
現状わかっている範囲だけでも:
- Siri / Apple Intelligenceの中核 → Gemini(Google)
- Xcode 26のコード生成アシスタント → Claude Sonnet 4(Anthropic)
- Siriからの高度な質問・画像生成 → ChatGPT(OpenAI)
つまり、
- コーディングならClaude
- 汎用生成AIならChatGPT
- システム統合・マルチモーダルはGemini
という「用途ごとに最適なAIを使い分けるマルチベンダー構成」になっています。
これ、エンジニア目線で見ると相当したたかです。
- 交渉力の維持:
- 「Geminiが値上げしたらClaudeやOpenAIを増やせばいい」
- ベンダーロックインされないカードを常にチラつかせられる
- 技術的な適材適所:
- コーディングはClaudeが強い
- マルチモーダルや巨大コンテキストはGemini
- 汎用性とブランド力はChatGPT
- 独禁法対策:
- 「特定1社と排他的契約」は避けたい空気が世界中で高まっている
- 実際、このGemini契約もわざわざ「非独占」と明記されている
要するに、
「プライドは横に置くけど、主導権は死守する」
のが今回のAppleの本音に見えます。
開発者目線でのインパクト:Siriが“OSの顔”として本当にAIになる

ここからが、現場エンジニア的に一番効いてくるところです。
◼︎ Siriが「単なるボイスUI」から「OSのAIフロントエンド」に化ける
今までは:
- Siri =
- アラーム、タイマー、電話、メッセージ程度
- あとは「ウェブでこちらが見つかりました」
これからはGemini統合によって:
- 自然言語理解・対話・要約・説明系はほぼ全部LLMで処理
- オンデバイスで処理できるところはローカルモデル
- それ以上はAppleのクラウド
- さらに重いタスクだけ裏でGeminiにエスカレーション
という3層構造のハイブリッドAIになります。
ここが重要で、
- エンドユーザーから見ると「ただSiriに話しかけているだけ」
- 裏では「ローカル/Appleクラウド/Gemini」が自動で振り分け
となると、Siriが実質「システム標準AIレイヤー」になります。
◼︎ 開発者にとっての「Siriの役割」が変わる
今までは:
- SiriKit / Intents は、
- 正直かなり限定的で、
- ガチで活用しているアプリはマイナーだった
これからは想定として:
- Siri/Geminiが
- ユーザーの自然言語を受ける
- 「これはカレンダー」「これはタスク管理」「これは経費アプリ」…と推論
- 最適そうなアプリのインテントを叩く
- 開発者は
- 「うちのアプリはこういうことができます」という能力グラフをOSに登録
- あとはSiri/Geminiがユーザー要求をうまくマッピングしてくれる
つまり、
アプリが「自前でLLM UIを持つか?」から、
「LLMにとって使いやすい“ツール”になるか?」に発想が変わる
というのが本質です。
ぶっちゃけ、「Siriショートカット強化版」+「Geminiによる自動オーケストレーション」の世界観に近いです。
とはいえ…懸念点も山ほどある
ここまで褒め気味に語りましたが、ぶっちゃけ懸念もかなりあります。
データは本当にGoogleに行かないのか問題
Appleは「プライバシー!」を看板にしているので、
今回もかなり工夫しているとされています。
- Geminiモデル自体はAppleのPrivate Cloud Compute上で動かす
- ユーザーデータはGoogleのインフラからは物理的に隔離
- さらに、
- まずデバイス上で前処理/マスク/要約
- それをAppleクラウドで再処理
- そのうえで最小限だけをGeminiに投げる
という“プライバシーバッファ層”のようなものを挟む設計だと報じられています。
これが事実なら、
「AppleがGoogleの頭脳をレンタルしつつ、それをAppleの家に閉じ込めてAppleのルールでしか動かさない」
という状態になり、
「Google本家のGeminiとは別物」と言えるかもしれません。
ただ、正直なところ:
- ログはどう扱われるのか
- モデル改善のためのデータ利用はどこまで許されるのか
- 地域ごとのデータ主権(EUなど)は?
この辺は細かい設計(と実装)がすべてです。
「Appleがそう言ってるから大丈夫」とは、もう誰も素直に信じない時代です。
特にヘルスケア・金融・法務系アプリを作っている人からすると、
「Siri経由で入ってきたユーザーデータが、どのレイヤーまで上がるのか?」
を説明しきれないと、
コンプライアンス的にかなり困る未来が見えます。
ベンダーロックインが二重構造になる
今までは:
- iOSにロックインされる=Appleにロックイン
これからは:
- iOSのAIレイヤー(Siri/Gemini)に依存した体験を作るほど
- Appleのオーケストレーションルールに縛られ
- その裏ではGoogleのモデル仕様変更の影響も受ける
という二重のロックイン構造になります。
たとえば:
- ある日、Gemini側のモデルがアップデートされて
- インテント推論の傾向が変わる
- 以前はあなたのアプリを選んでいたのに、
別の競合アプリを選びやすくなる - OSアップデートで
- プロンプトテンプレートやツール呼び出し方針が変わる
- テストしていないフローで意図しない挙動が出る
今までの「Siriの言い回しが少し変わってテストが壊れる」とは
桁違いの不確実性が発生します。
LLM前提の世界では避けられないとはいえ、
「OS標準AIに乗り過ぎる」のは、プロダクトの寿命をAppleとGoogleのご機嫌に紐づけることでもあります。
コスト構造から見て、“無制限使い放題”はまず来ない
Geminiクラスのモデルを、
世界中のiPhone / iPad / Macユーザーにほぼ無料で開放する──
正直、クラウドコスト的には地獄です。
なので高確率で:
- 無料利用にはレート制限・デイリー上限
- ヘビーな利用や高度機能は
- Apple Oneの上位プラン
- あるいは新しい「Apple Intelligence Pro」みたいなサブスクに紐づく
- 場合によっては、
- 一部の回答はGoogle検索や広告モデルと抱き合わせでコスト回収
みたいな世界になっていきます。
開発者からすると:
「システムAIを当てにしすぎたアプリ設計」は、
どこかで“天井”にぶつかるリスクが高い
ということです。
サードパーティAI/Assistantアプリはガッツリ潰される
iOS上には:
- ChatGPTアプリ
- Perplexity
- 単なるLLMフロントエンドアプリ
- 文章リライトや要約ツール など
すでに「なんちゃってAIアシスタント」「テキストAIツール」が大量にあります。
Gemini搭載SiriがOSレベルで:
- どのテキストフィールドからでも
- 「要約」「リライト」「翻訳」がワンタップ
- 音声でも
- 「さっきのメール要約して」「このページ3行で教えて」
みたいなUXを標準装備した瞬間、
「それ、わざわざ別アプリ開く?」問題
が一気に表面化します。
正直、“薄いラッパー系AIアプリ”はかなり厳しくなると思っています。
それでも「Gemini Siri」がもたらすポジティブな変化

ここまで懸念ばかり並べましたが、もちろん良い話もあります。
◼︎ iOSアプリが「本当に自然言語で呼び出される」ようになるかもしれない
今までのSiri連携は、
- かなり精密な言い回しじゃないと発火しない
- あいまいな指示はほぼ壊滅
- マルチステップ(「明日の打ち合わせの後に行けるレストラン予約して」)は論外
という状態でした。
Gemini搭載Siriなら:
- 「昨日のクライアントとのZoomの要点をメモアプリにまとめて」
- 「次の出張のフライトとホテル探して、予定に入れて、上司に共有して」
みたいな人間っぽい曖昧指示が、
複数アプリをまたいだタスクとして解釈される可能性があります。
開発者としては:
- 自分のアプリを
- 「この種のデータを扱える」
- 「こういう操作ができる」という形で
OSにきちんと広告しておく - あとは、
- Siri/Geminiがいい感じにタスクに組み込んでくれることを期待する
という設計が現実味を帯びてきます。
それは「アプリ発見」と「再訪率」のゲームルールを変えます。
「Gemini Siri」と競合するのは誰か?
◼︎ 一番しんどいのは実はGoogle自身(Android側)
皮肉な話ですが、この提携で一番割を食うのはAndroidの差別化戦略かもしれません。
- 普通なら
- 「AndroidにはGemini、iOSにはポンコツSiri」
- というわかりやすい優位性があった
- ところが
- 「iOSのSiriの中身もGeminiです」となったら
- 「AIが賢いのはAndroidだけです」というセールストークが弱体化
Appleは
「プラットフォームの上に最強クラスのAIを“借りてくる”」
ことで、GoogleのAI技術優位を中和してしまったとも言えます。
◼︎ ChatGPTアプリは「パワーユーザー専用ツール」になる
一般ユーザー視点では:
- ロック解除
- ChatGPTアプリ起動
- 入力 or 音声
という3ステップより、
- サイドボタン長押し or 「Hey Siri」
- そのまま話す
のほうが圧倒的に楽です。
なので、
- 「なんとなくAIに聞きたいこと」
- 「ちょっとした文章添削」
レベルの用途は、
全部Siriに吸われる可能性が高いです。
一方で、ChatGPTは:
- さらに強力な最新モデル(GPT-4.1以降)
- 高度なカスタムGPTやエージェント
- クロスプラットフォームのワークフロー
といった“プロ向け機能”で差別化していくことになるでしょう。
現場エンジニアとして、今なにをすべきか

正直、「Gemini Siri」がフルに見えてくるのはまだこれからですが、
今からやっておいて損しないことは結構はっきりしています。
✅ 1. 既存のSiriKit / ショートカット連携を棚卸しする
- 「決まったフレーズじゃないと発火しない前提」の設計は捨てる
- 「うちのアプリは何ができるか?」を
- なるべくシンプルで明確なインテントとして定義し直す
- 将来的に、
- LLMが曖昧な自然文からそのインテントにマッピングしやすい形に
✅ 2. アプリを「AIにとって使いやすいツール」にする
- ディープリンクやショートカット、Intentsの設計を
- 「人間がタップするもの」から
- 「AIエージェントにとってのAPI」として見直す
- 可能な限り
- 入出力が明確で機械的に扱いやすい形にする
✅ 3. LLM非決定性を前提にしたテスト戦略を考える
- 「Siriがこの文言を返してくるはず」は、今後ますます通用しない
- 代わりに
- 「Siri経由でこのインテントが起動されるまでのシナリオ」の
ざっくりテスト - 異常系として「全く別のインテントが選ばれた場合」のフォールバック
✅ 4. 自前LLMを使うべき領域と、OS AIに任せる領域を切り分ける
- 機密性が高い領域
- 業務ドメインに特化したナレッジ
- 大量トラフィック
こういうところは、
Siri/Geminiではなく自前インフラ+自前LLMでやるべきです。
逆に、
- 単発のQ&A
- ちょっとした文章生成
- 汎用タスクのオーケストレーション
は、OS標準AIに乗っかったほうがコスパもUXも良くなる可能性があります。
コミュニティの空気感:期待よりも「うんざり」が先に来ている
Firefoxコミュニティ周辺の議論を眺めていると、
「Apple AI、Meta AI、Google AI、Microsoft AI…全部クソで役に立たない」
という、なかなか手厳しい空気があります。
- 「またビッグテックがデータ集めの口実としてAIを押しつけてくるだけでは?」
- 「Mozillaは10年前から地道にAIやってるのに、今さら“AI! AI!”と騒がれても…」
という不信感も根強い。
正直、この空気感の中で「SiriがGeminiになりました!すごいでしょ!」と言っても、
「どうせまた大げさなデモだけで、実際にはタイマーすらまともに動かないんだろ?」
くらいにしか受け取られない可能性は高いです。
だからこそ、Appleにとっては技術的なすごさより、日々の「ちゃんと動く」体験が勝負になります。
結論:プロダクションで全乗りするか?正直まだ様子見です

個人的な結論としては、
- ユーザー体験としてのSiri強化には期待している
- でもプロダクトの中核ロジックをGemini Siriに全面依存するのは、まだやりたくない
というスタンスです。
理由はシンプルで:
- モデルも契約も、まだ数年単位で揺れる
- Appleの「AI方針」自体も、世論と規制の板挟みで変わりうる
- LLMの非決定性と、Apple+Google二重ロックインのリスクがデカすぎる
一方で、
- 「アプリをAIエージェントにとって使いやすいツールにする」
- 「Siri / ショートカット連携を、LLM時代仕様にアップデートする」
ここに投資するのは、かなりリターンが見込めると思っています。
ぶっちゃけ、
「ユーザーはSiriに話しかけて、裏であなたのアプリが仕事をする」
という未来は、かなりの確度でやってきます。
そのときに、
- 「うちは自前UIでしか価値を出せません」なアプリと
- 「AIにとって使いやすい強力なツールです」なアプリ
どちらが生き残りやすいかは、言うまでもないはずです。
まとめ
- Gemini搭載Siriは、
- 「PowerPC→Intel」級のアーキテクチャ転換
- かつ「Safariデフォルト検索契約」のAI版
- Appleは敗北を認めつつも、
- Google / OpenAI / Anthropicを用途で使い分ける
- 超したたかなマルチベンダー戦略を取っている
- 開発者としては、
- Siriを「OSのAIフロントエンド」と見なし
- 自分のアプリを「LLMにとってのツール」として設計し直すタイミング
- ただし、
- プライバシー
- 二重ロックイン
- コストと利用制限
- LLM非決定性
このあたりのリスクを踏まえたうえで、全面依存はまだ危険。
正直、Siriが本当に「使えるAI」になったところは一度見てみたい派です。
でも、それを信仰ではなく設計とテストで扱うのが、今のエンジニアに求められているスタンスだと思います。


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